2026年版 最低賃金改定!毎年上がり続ける最低賃金にどう立ち向かう?
全国の人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは!
今年もこの時期がやってきましたね…
昨年(2025年)も大幅な引き上げとなり、「毎年50円近く上がっていくの……?」「もう無理じゃね?」とお悩みの声が各所から聞こえていました。
政府が掲げる「2030年代半ばまでに全国平均1,500円」(いつの間にか2020年代中にから2030年代半ばに修正されています)という目標に向けて、確実に上がり続けます。
決まったものには従うしかないとはいえ、ただ時給を書き換えるだけでは済まないのが恐ろしいところですよね。 今回は、2026年10月の最低賃金改定に向けて、今のうちに給与計算・人事担当者が確認・準備しておくべき重要ポイントを整理しておきましょう。
1. 時給者だけじゃない!「月給者」の最低賃金チェックは済んでいますか?
時給制のパート・アルバイトさんの単価チェックは分かりやすいですが、意外と見落としがちなのが月給制の社員さんです。
月給者の最低賃金チェックは、以下の式で計算します。
【基本給 + 対象となる手当】 ÷ 1ヶ月平均の所定労働時間 ≧ 改定後の最低賃金額(時間単価)
ここでのポイントは以下の2点です!
- ①「1ヶ月平均の所定労働時間」を正確に把握する
年間カレンダーを作成し、年間の総所定労働時間を12ヶ月で割って正確な時間を出していますか?
(※「なんとなく170時間で計算していた」となると、実際の月平均所定労働時間と異なり、最低賃金を割ってしまうケースがまぁまぁあります)
例:福岡県1,057円 総支給額180,000円の社員Aさんのケース
・月平均所定労働時間が170時間の場合、時間単価は1,058円
※最低賃金1,057円以上となりOK
・月平均所定労働時間が173時間の場合、時間単価は1,040円
※最低賃金1,057円未満となりNG! - ② 最低賃金の対象から除外される手当を正しく省く
実際に支払っている給与のうち、以下の手当は最低賃金の計算基礎から除外しなければなりません。- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 時間外・休日・深夜の割増賃金
- 賞与や臨時の賃金
※残業代の計算基礎とは除外できる手当(住宅手当の扱いなど)が微妙に異なりますのでご注意ください!
厚生労働省の「最低賃金セルフチェックシート」などを活用して、社内で一番基本給(月給)が低い社員さんだけでも、今すぐ計算してみることをおすすめします。
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
最低賃金に関するセルフチェックシート
2. 最低賃金ギリギリじゃない社員への「波及効果」どうする問題
最低賃金が上がると、一番下の賃金帯を底上げせざるを得ません。 すると必ず発生するのが、「新人の時給と、数年働いているベテランの時給がほぼ同じになってしまう問題」です。
- 最低賃金に合わせて下限だけを引き上げると、既存の先輩社員から不満が出る…
- だからといって、全員一律で50円引き上げると人件費が爆発する…
一番頭を抱えるポイントです。 一律で引き上げる必要はありませんが、モチベーション維持や採用競合力を保つためには、業務内容や責任の度合いに応じた昇給基準(バランス)を検討しておく必要があります。
3. 今こそ「賃金制度・人事評価制度」の見直しを!
毎年50円ペースで最低賃金が上がっていく時代において、場当たり的な昇給対応を続けていくのは限界があります。
- どの職務・役割に対していくら支払うのか(等級制度・賃金制度)
- どんな行動や成果を評価して昇給させるのか(人事評価制度)
これらを社内に見える化しておくことで、毎年の最低賃金改定に振り回されることなく、社員も納得感を持って働くことができます。
「最低賃金の引き上げ」を単なるコスト増と捉えず、社内の評価ルールや賃金体系を整える絶好のチャンスと捉えて見直していきましょう!
最後に
最低賃金の改定対応は、給与計算のチェックから就業規則・賃金規定の改定、さらには人件費シミュレーションまで多岐にわたります。
「うちの給与計算、最低賃金クリアできているか不安……」 「賃金テーブルの改定や評価制度の導入を考えたい」
など、お困りの際にはいつでもご相談ください。 御社にお伺いし、社長や役員の方、給与計算担当者のお悩みをお聞きします。
松本労働法務事務所 代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com