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「産後パパ育休」「パパ・ママ育休プラス」ってどう違うの?人事担当者が知っておくべき男性育休制度の全体像

全国の人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは! 男性の育休取得がやっと当たり前の時代になりましたね。でも…制度の名前やルールが増えすぎて、頭の中がこんがらがっていませんか? 「産後パパ育休と普通の育休って何が違うの?」 「パパ・ママ育休プラスって、どういう時に使える制度だっけ?」 「分割取得って結局何回までできるの?」 今回は、押さえておくべき男性の育休制度(「産後パパ育休」「育児休業」「パパ・ママ育休プラス」)の全体像と実務のポイントをスッキリ整理して解説します! 子の出生直後に柔軟に休める「産後パパ育休(出生時育児休業)」 まずは、赤ちゃんの出生直後に特化した制度「産後パパ育休」です。 ・対象時期:子の出生後8週間以内 ・取得可能日数:通算4週間(28日)まで ・分割取得:2回に分割して取得可能(※最初にまとめて申し出ることが必要です) ・申出期限:原則として休業開始の2週間前まで 最大の特徴は、事前に労使協定を締結していれば、休業中でも従業員との合意の範囲内で「一時的な就業(仕事)」が認められている点です。 「1か月丸々現場を空けるのは難しい…」という男性社員でも、繁忙日や引き継ぎのために数日出社しながら休業する、といった柔軟な取り方が可能になります。 後で出てきますが、子の出生後8週間以内に14日以上、出生時育児休業を取ることで、配偶者(妻)が出生後支援給付金を受け取ることができます。 1歳までじっくり育児に関わる「育児休業(通常の育休)」 次に、従来のベースとなる「育児休業」です。産後パパ育休とは枠組みが別で設けられています。 ・対象時期:原則として子が1歳に達するまで(保育所に入れない等の事情があれば最長2歳まで延長可能) ・分割取得:原則として2回に分割して取得可能 ・申出期限:原則として休業開始の1か月前まで 産後パパ育休(2回)と通常の育児休業(2回)を組み合わせることで、男性社員は1人の子どもに対して「最大4回」に分けて育休を取得することができます。 「妻の出産直後に1回、ママの復職時期に1回…」といった形で、家庭の状況に合わせた柔軟な計画が立てられます。 夫婦でバトンタッチして期間を延ばせる「パパ・ママ育休プラス」 「パパ・ママ育休プラス」は、夫婦ともに育休を取得する場合に使える特例制度です。 ・概要:通常は「子が1歳になるまで」の育休期間を、父母ともに取得する場合は「子が1歳2か月に達する日まで」延長できます。 ・主な要件: ①配偶者が子が1歳に達する日以前に育休を取得していること ②本人の育休開始日が、子の1歳到達日の翌日以前であること ③本人の育休開始日が、配偶者の育休開始日以後であること ここでの注意点は、「1人あたりの育休期間の上限(1年間)が増えるわけではない」という点です。 例えば、ママが産後休業から引き続き育休を取り、途中でパパが育休に入ってママからバトンタッチ(あるいは交替)して1歳2か月まで交代で育てる、といった「復職時期の調整」に非常に役立つ制度です。 実務と経済的支援のポイント 制度を理解したら、実際の申請・手続面でも以下のポイントを確認しておきましょう。 経済的支援(給付金と社保免除)・ 休業開始から180日目までは賃金の67%(181日目以降は50%)の育児休業給付金が支給されます。さらに、2025年4月からは夫婦ともに一定期間内に14日以上の育休を取得すると、13%が上乗せされる「出生後休業支援給付金」も始まっています。 ・また、休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は免除対象となります(※月末休業または同一月内に14日以上の休業等の要件あり)。 事前ヒアリングと意向確認・本人または配偶者の妊娠・出産等の申出があった際、企業には制度の個別周知と取得意向の確認が義務付けられています。 「いつ、どの制度を使って休む予定か」「給付金の受給要件(14日以上等)を満たしそうか」を早めにヒアリングし、社内手続きを進めることがトラブル防止につながります。 最後に 男性の育休制度は、取得タイミングや回数の自由度が増した分、担当者様が「どの制度・給付金の要件に当てはまるか」をパズルのように組み立てて確認する必要があります。 「社員から出された育休計画で、パパ・ママ育休プラスが適用できるか確認したい」 「社内の育休受給チェックリストや申請書フローを見直したい」 など、お困りの際にはいつでもご相談ください。 御社にお伺いし、社長や役員の方、給与計算担当者のお悩みをお聞きします。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

2026年版 最低賃金改定!毎年上がり続ける最低賃金にどう立ち向かう?

全国の人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは! 今年もこの時期がやってきましたね… 昨年(2025年)も大幅な引き上げとなり、「毎年50円近く上がっていくの……?」「もう無理じゃね?」とお悩みの声が各所から聞こえていました。 政府が掲げる「2030年代半ばまでに全国平均1,500円」(いつの間にか2020年代中にから2030年代半ばに修正されています)という目標に向けて、確実に上がり続けます。 決まったものには従うしかないとはいえ、ただ時給を書き換えるだけでは済まないのが恐ろしいところですよね。 今回は、2026年10月の最低賃金改定に向けて、今のうちに給与計算・人事担当者が確認・準備しておくべき重要ポイントを整理しておきましょう。 1. 時給者だけじゃない!「月給者」の最低賃金チェックは済んでいますか? 時給制のパート・アルバイトさんの単価チェックは分かりやすいですが、意外と見落としがちなのが月給制の社員さんです。 月給者の最低賃金チェックは、以下の式で計算します。 【基本給 + 対象となる手当】 ÷ 1ヶ月平均の所定労働時間 ≧ 改定後の最低賃金額(時間単価) ここでのポイントは以下の2点です! 厚生労働省の「最低賃金セルフチェックシート」などを活用して、社内で一番基本給(月給)が低い社員さんだけでも、今すぐ計算してみることをおすすめします。  厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧最低賃金に関するセルフチェックシート https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html 2. 最低賃金ギリギリじゃない社員への「波及効果」どうする問題 最低賃金が上がると、一番下の賃金帯を底上げせざるを得ません。 すると必ず発生するのが、「新人の時給と、数年働いているベテランの時給がほぼ同じになってしまう問題」です。 一番頭を抱えるポイントです。 一律で引き上げる必要はありませんが、モチベーション維持や採用競合力を保つためには、業務内容や責任の度合いに応じた昇給基準(バランス)を検討しておく必要があります。 3. 今こそ「賃金制度・人事評価制度」の見直しを! 毎年50円ペースで最低賃金が上がっていく時代において、場当たり的な昇給対応を続けていくのは限界があります。 これらを社内に見える化しておくことで、毎年の最低賃金改定に振り回されることなく、社員も納得感を持って働くことができます。 「最低賃金の引き上げ」を単なるコスト増と捉えず、社内の評価ルールや賃金体系を整える絶好のチャンスと捉えて見直していきましょう! 最後に 最低賃金の改定対応は、給与計算のチェックから就業規則・賃金規定の改定、さらには人件費シミュレーションまで多岐にわたります。 「うちの給与計算、最低賃金クリアできているか不安……」 「賃金テーブルの改定や評価制度の導入を考えたい」 など、お困りの際にはいつでもご相談ください。 御社にお伺いし、社長や役員の方、給与計算担当者のお悩みをお聞きします。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

マイナ保険証への移行 健康保険資格確認書って、どうやって手に入れるの?

全国の人事担当の皆様、こんにちは! 12月入社の方以降、健康保険証が届かなくなりましたね。マイナンバーカードの取得と、マイナポータルとの連携はできていましたか? さて、ここで強い信念で「マイナンバーカードは作りません!!!」という新入社員が来たらどうしましょう。資格情報のお知らせ(紙)だけでは診療を受けることができません。 結論から言うと、マイナ保険証を持っていない方の分は特に何も手続きをしなくても健康保険資格確認書が届く予定です。(謎ですね。健康保険証ではダメなんですね。河野先生!これがDXなんですか!?) でも、大体そういうケースに限って、急いで病院にかかりたい!なんて言われるわけです。協会けんぽなんかですと、結構時間がかかるんじゃないかなー? あとで謎クレームを入れられる前に、サクッと健康保険資格確認書申請書を出しときましょう!まだ電子申請ソフトは対応してないかもわかりません。印刷しときましょう。 協会けんぽ 健康保険資格確認書交付申請書 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat290/r59/ なんだかんだと細かい対応が多いですね。 年末調整もお疲れ様です。定額減税もありますね。年少扶養親族のチェック・入力忘れないようにしましょう。あとで謎クレーム来ます。先手先手で確認しましょう。 お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

最低賃金改定に合わせた賃金制度の見直しについて

  今年もやってきましたね。最低賃金改定の時期が!   昨年は900円から941円へ41円アップ、今年は992円へ51円アップです!! すごい勢いですね。政府は今後10年間で全国平均で1,500円を目指すようです。 ということは・・・毎年10月に50円ずつ最低賃金が上昇していくわけです。 頭痛いですね。 具体的には何をすべきなのか、復習していきましょう。     1. 改定後の最低賃金以下の従業員への対応 令和6年10月5日から適用される新しい最低賃金により、時給がその水準を下回る従業員に対しては、すみやかに改定後の時給単価で労働契約を結び直すことが必要です。   2. 改定後の最低賃金以上で契約している従業員への対応 すでに最低賃金以上の時給で労働契約を結んでいる従業員については、最低賃金の上昇分(50円程度)を賃金に反映させるかどうかを個別に検討しましょう。 • 賃金見直しのポイント:最低賃金が上昇しても、すでに高い賃金で契約している従業員については、一律に賃金を引き上げる必要はありません。しかし、賃金水準が業界内で競争力を保つためには、従業員のモチベーション向上の観点からも、昇給を検討する価値があります。   3. 契約改定のタイミング 最低賃金の改定に合わせて、既存の労働契約をいつ改定するかも重要なポイントです。 ① 最低賃金改定時期に合わせる:最低賃金改定に合わせて労働契約を改定する方法です。このタイミングで契約を見直すことで、最低賃金に確実に対応できます。 ② 定期昇給の時期に合わせる:定期昇給のタイミングに賃金改定を行う方法もあります。この方法であれば、労働契約の更新が1年に一度のタイミングで行え、管理がしやすくなります。   4. 誰をどれだけ昇給するのか 賃金の見直しに際して、どの従業員をどれだけ昇給させるかを慎重に検討することが重要です。 昇給の基準としては • 担当する業務の内容 • 責任の度合い • 具体的に発揮しているスキルや行動、職場での姿勢 これらを総合的に評価し、公平に昇給を決定しましょう。昇給はモチベーションアップに繋がる重要な要素であり、従業員にとっても重要な指標です。   5. 賃金制度・等級制度・人事評価制度の導入 昇給や賃金改定を適切に行うためには、賃金制度や等級制度、人事評価制度の導入が必要です。これにより、各従業員の能力やスキルを客観的に評価し、それに応じた適正な昇給が可能になります。 • 賃金制度の意義:賃金制度は、どの職位や業務に対してどの程度の賃金を支払うべきかを明確にする仕組みです。これにより、昇給のタイミングや額を公平に決定できます。   6. わかりやすい人事制度を導入するメリット 経営者だけでなく、従業員にも理解しやすい人事制度を導入することで、毎年の最低賃金改定に伴う混乱を防ぐことができます。人事評価基準が明確であると、従業員自身も自分のキャリア目標が明確になり、モチベーションが向上します。 • メリット: ①人事評価が透明化:従業員は、自分がどのような基準で評価されているのかを理解しやすくなり、不公平感が減少します。 ②離職率の低下:将来のキャリアパスが見えることで、従業員のモチベーションが上がり、結果として離職率が低下する効果があります。 ③優秀な人材の確保と育成のために 最低賃金改定に伴う賃金制度の見直しは、優秀な人材を確保し、育成するための重要な要素です。賃金制度を整え、公平で透明性のある人事評価制度を導入することで、従業員が長期的に企業で働き続ける環境を整えることができます。…

懲戒処分 どのくらいが妥当なの?

懲戒処分の指針について(人事院事務総長発) 人事担当のみなさま、こんにちは。   今回は、懲戒処分の量定(懲戒処分の程度を定めること)についてお話しします。 従業員が会社のルールに違反した場合、懲戒処分が必要になることがありますが、その量定が曖昧であると、公平性が失われ、会社内での信頼が揺らいでしまう可能性があります。適切な懲戒処分を行うために、事前に明確な基準を設けておくことが重要です。   1. 懲戒処分の基準を明確にすることの重要性 「どういった行為をすれば、どのような処分になり得るのか」を企業内で明確にしておくことは、従業員のモチベーションや職場環境に大きく影響します。 懲戒処分の基準が曖昧だと、従業員は自分の行動がどのように評価されるのか不安に感じるでしょう。特に、パワーハラスメントに関するケースでは、部下への指導との境界が不明瞭になることがあります。   • 明確な基準がない場合:管理職が部下を適切に指導する際に、処分基準が曖昧だと、「自分の指導がハラスメントと見なされるかもしれない」という懸念から、指導のモチベーションが低下してしまうことがあります。 • 懲戒基準の策定:企業としては、具体的な懲戒処分の基準を定め、従業員に周知しておくことが大切です。これにより、従業員も安心して業務に臨むことができ、管理職も自信を持って指導が行えます。   2. パワーハラスメントと指導の区別 パワーハラスメントの問題が取り沙汰される中で、部下への指導が適切な範囲を超えていないか、または厳しすぎると判断されないかに対する懸念が高まっています。指導が過剰であった場合、懲戒処分の対象となる可能性がありますが、あくまで「懲戒に値するかどうか」の判断基準は、企業の方針に基づいています。   • 曖昧な処分基準がもたらす影響:基準が不明瞭だと、管理職が適切な指導をためらい、結果的に部下の育成が遅れることになります。指導と懲戒処分の基準を明確にし、社員にその違いを理解させることが重要です。   3. 懲戒処分のバランスと公平性 懲戒処分を行う際は、その処分がバランスを欠いたものになっていないか、常に検証することが重要です。例えば、似たような違反行為があっても、処分が異なれば不公平感が生じ、従業員の士気が下がる可能性があります。   • バランスの確認:同じ種類の違反に対して、同じ処分を行っているかを定期的に見直す必要があります。不均衡な処分が行われていないか、懲戒処分の履歴や事例を検証し、公平な対応を維持することが企業の信頼性を保つために大切です。   4. 事前の検討が必要 懲戒にあたるような出来事が実際に起こる前に、どのような基準で懲戒を行うのかを事前に検討しておくことが必要です。 突然のトラブルや問題行動が発生した際、事前に基準が決まっていないと、対応が場当たり的になりかねません。   • 事前に基準を設定する理由:基準が事前に定められていれば、問題が発生した際に迅速かつ適切な対応が可能になります。また、処分を受ける従業員も事前にその基準を知っていることで、処分の妥当性に納得しやすくなります。   5. 人事院の「懲戒処分の指針」参考に 人事院が発行している「懲戒処分の指針について」を参考にすることは、企業にとって非常に有用です。この指針では、懲戒処分の基本的な考え方や、適用すべき基準について詳しく説明されています。   • 指針の活用:人事院の指針を参考にすることで、自社の懲戒基準を検討する際の指針となり、他の企業での実例を踏まえた判断が可能になります。また、指針に基づいて基準を作成することで、処分の客観性が高まります。   最後に 懲戒処分の量定は、企業内での信頼関係や公平性に直結する重要な課題です。基準を事前に明確に設定し、バランスの取れた処分を行うことで、従業員のモチベーションを保ちながら、企業全体の健全な運営に貢献することができます。 お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

残業代を支払いたくないとき?

ありますよね。おっしゃっていることは分かります。 社長、後ほどゆっくりお話し聞きましょうか。 人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは。 企業運営において、正しい労務管理が行われていないと、思わぬトラブルや法的リスクに繋がる可能性があります。今回は、企業が残業代を支払いたくないと感じる理由について考え、それに対する適切な対応策をお伝えします。 そもそも残業時間とは? 残業代を適正に支払うためには、残業時間の正しい定義を理解することが重要です。 労働基準法では、1日8時間、1週40時間を超える労働時間が「法定外労働時間(残業)」となり、その時間には1.25倍の単価で残業代を支払う必要があります。その他、1ヶ月あたりの残業時間が60時間を超える場合には、1.5倍の単価で残業代を支払う必要があります。 また、会社が独自に定めた所定労働時間を超えた場合も、割増賃金を支払わなければならないケースがあるため、就業規則や労働時間の取り決めをきちんと確認しておきましょう。   残業代を支払いたくない理由トップ3 使用者が残業代を支払いたくないと感じる理由は、主に次の3つに分かれるのではないでしょうか。  1. 残業時間のカウント方法がわからない  2. 残業が本当に必要なのか明確でない  3. 会社の資金が足りない それぞれの理由について見ていきましょう。   1. 残業時間のカウント方法がわからない場合 残業代を支払いたくない理由として最も基本的な問題は、残業時間の正しいカウント方法がわからないというケースです。この場合、まずは勤怠管理の方法を明確にすることが必要です。 特に参考になるのが、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」です。 ガイドラインによると使用者には労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する責務があります。 • 勤怠管理の方法の選択:社長や上司が毎日、従業員の出退勤時間を直接確認するのか?タイムカードを利用するのか?あるいはクラウド勤怠システムを導入するのか?従業員の自己申告制にするのか? できれば、集計や管理(残業申請・承認など)がやりやすい、クラウドシステムを導入しましょう。 • 労働時間の定義:労働時間とは、使用者が明示的または黙示的に指示をした時間です。例えば、制服への着替えや業務後の後始末、待機、研修などが使用者の指示のもとで行われた場合、これらも労働時間としてカウントされます。 ここは会社によって色々なケースがあると思います。一つ一つ確認し、会社のルールを定めていきましょう。   2.残業が本当に必要か明確でない場合 次に、残業が本当に必要なのかが明確でないという問題です。ここが一番難しいですね。 この場合は、まず社内のルールを明確にし、従業員が勝手に残業を行わないようにすることが必要です。 • 残業は使用者の命令によるものと周知する:基本的に残業は、使用者の命令によって行うものです。 従業員が勝手に、自由意志で行えるものではありません。  • 残業申請のルール作り:従業員の判断で残業をする場合には事前に申請をして、使用者が承認することで初めて残業が可能となるルールを定めましょう。 突発的に業務が発生して、事前に申請ができない場合でも、事後速やかに申請をすることをルールとしましょう。 就業規則に、残業は必ず事前または事後に申請し、承認を得ることを明記します。たとえば、次のような規定が考えられます。 第⚪︎条(時間外労働) 業務の都合により所定労働時間外に労働させることがある。2 従業員が、職務の都合で時間外労働をするときは、事前または事後に会社の承認を得るものとし、 自己の勝手な判断による時間外労働は認めない。 このように明確なルールを定めることで、従業員が勝手に残業をすることを防ぎ、必要な場合にのみ残業を許可する仕組みが作れます。  また、常態的に残業が発生している場合には、現在の業務に対して人員が不足している可能性があります。いずれにしても、従業員が何をしているのか、把握することが第一歩です。 意外と、社長が知らないところでゆったりと仕事をしていることもありますし、想像以上に仕事をしてくれていることも良くあります。   3. 会社の資金が足りない場合 最後に、会社の資金が足りないために残業代を支払いたくないというケースです。 この場合、財務分析や売上高および粗利の確保など経営改善策を講じるとともに、残業を減らすための施策を講じる必要があります。 • 業務効率化:残業が常態化している場合、業務の分担や効率化を検討することが重要です。業務の優先順位を見直し、無駄な業務や非効率なプロセスを削減することで、残業を減らすことができるかもしれません。 今いるスタッフが、「朝出社して退社するまで」行なっている業務を全て漏れなく洗い出す手法があります。職務分析という手法ですが、やってみると本当に必要な業務ばかりではないことに気が付くはずです。もっと効率的にできること、時間を短縮できること、そもそもやらなくてよいこと。 ここは、心を鬼にして洗い出しましょう。そして「あるべき姿」へ向けて業務を組み替えましょう。…

マイナンバーカードと健康保険証の一体化について

協会けんぽ (資格情報のお知らせ及び加入者情報について)   給与計算担当のみなさま、こんにちは。 台風やら残暑やらで、気を使うことが多いですね。従業員さんの健康管理もそうですが、まずはご自身の体調を整えていきましょう。   今回は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてお話しします。 今後の対応が必要な重要な制度変更ですので、しっかりと確認しておきましょう。 またやることが増えましたね!くぅ〜!   1. 健康保険証がマイナンバーカードと一体化 令和6年12月2日から、現行の健康保険証の発行が終了し、今後はマイナンバーカードが健康保険証として使用されることになります。 これは、河野太郎大先生肝入りのデジタル化推進の一環として行われるもので、全ての被保険者に影響がある重要な変更です。   • 健康保険証の廃止:令和6年12月2日以降、健康保険証は発行されなくなり、従業員はマイナンバーカードを医療機関や薬局で提示することで、保険診療を受けることができるようになります。 • 現行の健康保険証:現在お持ちの健康保険証については、令和7年12月1日まで使用可能です。この期間中にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるように準備を進める必要があります。      2. 給与計算担当者の対応 資格情報のお知らせの受け取りと配布 • 協会けんぽから届く「資格情報のお知らせ」:給与計算担当者の元に、協会けんぽから「資格情報のお知らせ」が届きます。 これは、必ず各従業員に手渡しする必要があります。 ①資格情報のお知らせの保管を指示 • 切り取り保管:資格情報のお知らせを手渡すだけではなく、切り取って保管するよう指示する必要があります。 ※資格情報のお知らせは、マイナンバーカード対応できていない医療機関で診療を受ける際に、マイナンバーカードと一緒に提出することがあるとのこと。なんという・・・。河野先生!! 従業員さんには「大事なものだからマイナンバーカードと一緒に保管してね」と伝えましょう!無くすなよ!絶対無くすなよ!    ②マイナンバーの確認を指示する ・マイナンバーの確認:従業員に資格情報のお知らせを渡す際には、マイナンバーの下4桁が正しく記載されているかを確認するように伝えましょう。   3. 従業員への説明と指導 今回の変更については、従業員にも十分な説明が必要です。特に、マイナンバーカードを健康保険証として使用する手続きや、期限についてしっかりと周知しましょう。 • マイナンバーカードの申請推奨:まだマイナンバーカードを申請していない従業員に対しては、早めに申請を促すことが重要です。マイナンバーカードの取得が遅れると、保険証として使用できない期間が発生する可能性があるため、注意が必要です。 • 健康保険証の有効期限:令和7年12月1日まで現在の健康保険証が使用できるため、その間にマイナンバーカードを保険証として利用する準備を進めてもらいましょう。   4. 今後の流れ マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、今後も様々な業務に影響を与える可能性があります。給与計算担当者としては、引き続き制度変更に対応できるように情報収集を行い、従業員とのコミュニケーションを円滑に進めていきましょう。 たぶん、おそらく、むっちゃ聞かれると思います。くぅ〜。 なんなら、従業員の扶養者からも問い合わせがあるかも分かりません。しかも12月とか、バリバリ忙しい時期に。そうならないように、早めにインフォメーションしておきましょう。これはマジ。   最後に マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、従業員にも企業にも大きな変化をもたらします。従業員の健康保険情報が適切に管理されるよう、資格情報のお知らせの配布やマイナンバーの確認、そして保管手続きに十分な注意を払いましょう。不明点があれば、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太…

台風で早退?給与計算は?

給与計算担当のみなさま、お元気でしょうか?夏バテしてませんか?   台風のシーズンが近づいてきましたが、皆さまの会社では台風や悪天候時の対応についてどのようにされていますか? 特に、従業員が台風の影響で早退する場合、その給与計算の方法について迷われることもあるかと思います。今回は、台風による早退時に考えられる3つの対応方法についてご紹介します。   1. 会社都合の休業と考えて休業補償を支払う 台風などの自然災害により、会社が従業員に早退を指示した場合、その早退時間を「会社都合の休業」として扱う方法があります。 • 休業補償の支払い:この場合、労働基準法第26条に基づき、会社は平均賃金の60%以上を従業員に支払う必要があります。台風が原因で会社が休業を指示した場合、従業員には責任がないため、この休業補償を適用するのが適切です。 • 例:もし従業員が午前中で早退し、残りの勤務時間が4時間だった場合、その4時間分の賃金の60%を休業手当として支払うことになります。   2. 有給休暇を推奨する 次に、従業員に有給休暇を使用することを推奨する方法です。台風の影響で早退する場合、従業員が自ら有給休暇を使用することを選択できるようにすることも一つの対応策です。 • 有給休暇の利用:従業員が有給休暇を使用することで、その日の給与は全額支払われることになります。これにより、従業員は収入の減少を避けることができます。 • メリット:有給休暇の利用を推奨することで、従業員は安心して早退できます。ただし、有給休暇の残日数に注意が必要です。有給休暇の残日数が無い従業員の場合は、1. と同様に休業補償をすることになります。   3. 早退控除を行う 最後に、会社が早退を指示していない場合、従業員が自らの判断で早退した際には、早退した分の給与を控除する方法があります。 • 早退控除の適用:従業員が自己判断で早退した場合、その時間分の給与を控除することが基本的な対応です。これは、会社が早退を指示していないため、従業員の労働時間に応じた給与を支払うという考え方に基づいています。 • 例:従業員が1時間早退した場合、その1時間分の給与を控除します。   4. どの方法を選ぶべきか? 台風などの自然災害時にどの対応を取るべきかは、状況や会社の方針に応じて判断する必要があります。以下のポイントを考慮して、最適な対応を選択しましょう。 • 会社が早退を指示した場合:休業補償として60%の給与を支払う方法が適切です。 • 従業員の自主的な判断で早退した場合:基本的には早退した時間分を控除することになりますが、有給休暇の使用を推奨することも可能です。 • 従業員とのコミュニケーション:どの方法を取るにしても、従業員に対して事前に方針を説明し、理解を得ることが重要です。適切な対応を取ることで、従業員の安心感を高めることができます。 5. 給与明細にはどう記載する? 休業補償をする場合でも、従業員には通常通り早退の申請をしてもらいましょう。 その際、コメント欄に「台風により早退」ときちんと記載してもらいましょう。 その上で給与計算では、上記の早退時間を「早退控除」とし、その60%を「休業手当」として支給します。 • 例:基本給 173,000円   早退控除 △4,000円   休業手当 2,400円   総支給額 171,400円   最後に 台風などの自然災害による早退時の給与計算は、企業にとっても従業員にとっても重要な問題です。状況に応じた適切な対応を選択することで、会社と従業員の双方にとって最良の結果を得ることができます。不明点があれば、いつでもご相談ください。  …

労働保険料の年度更新の注意点について

給与計算担当のみなさま、お疲れ様です!   6月が終わろうとしていますが、労働保険料の年度更新はお忘れないでしょうか? 労働保険料の年度更新は、毎年一度、労働者がいる全ての事業所が行う重要な手続きです。今回は労働保険料の申告にあたっての注意点について解説します。   1. 前年度の給与総額の正確な集計 前年度の給与総額を正確に集計することは、労働保険料の計算において非常に重要です。給与、賞与、残業代など、すべての賃金を漏れなく集計しましょう。特に、以下の点に注意してください。 • 正社員だけでなく、パートやアルバイトの賃金も含めること・・・常用労働者と臨時労働者(雇用保険対象外のパート・アルバイト)とに分けて集計が必要です。 ・集計期間を確認すること・・・基本的に保険料算定期間(4月分から翌年3月分まで)に確定した賃金を集計します。支給月ではないというところがポイントですね。 (社会保険料の基礎算定は支給月で集計するので、混乱しがちです) • 通勤手当手当なども含めて計算すること。 ※労働保険における賃金とは、名称のいかんを問わず労働の対象として支払うすべてのものと定められています。 通勤手当・家族手当・住宅手当・休業手当などは労働保険の賃金として集計が必要です。 逆に、労働保険の賃金としないものとしては、結婚祝金や弔慰金・実費弁済と考えられる出張手当・宿泊費などがあります。   2. 保険料率の確認 雇用保険料率や労災保険料率は年度ごとに変更があります。最新の料率を確認し、正確に計算しましょう。   3. 申告書の記入ミスに注意 年度更新申告書の記入には多くの項目がありますが、特に注意すべき点は以下の通りです。 • 事業所名や所在地、労働者数の記入ミスを避ける・・・これは大丈夫、と思いきや事業所の住所じゃなくて本社住所を記入しちゃったり。 • 計算結果の再確認を行い、誤りがないかチェックする・・・検算は大事っす。 • 申告済み概算保険料の記入もれや誤りが無いかチェックする・・・送られてきた用紙には、すでに記載されていますが、会社で電子申告する場合には昨年の申告書を必ず確認しましょう。 これ、間違えがちなポイントです。   4. 提出期限を守る 年度更新の提出期限は通常、6月1日から7月10日までです・・・早めの準備を心がけましょう。   5. 保険料の納付方法 保険料の納付は、銀行や郵便局で行うことができますが、オンラインバンキングを利用することも可能です。オンラインバンキングを利用することで、納付の手間を軽減し、時間を節約することができます。   6. 不明点は早めに相談 労働保険料の年度更新は、やや複雑な手続きですが、不明点や疑問があれば早めに相談することが重要です。労働基準監督者や社会保険労務士に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。   最後に 年度更新は手間がかかる作業ですが、給与をきちんと集計できれば申告書も作成できます。まだの方は、できれば、給与ソフトを導入しましょう! お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

定額減税が給与計算に与えるインパクト? その7  〜給与明細への明記が義務化!?〜

令和6年5月21日、各社から報道されていますが、定額減税額の給与明細への明記を義務化する方針だそうですよ!給与計算ご担当のみなさま!! 定額減税 給与明細に所得税の減税額を明記 企業に義務づけ NHK NEWS WEB   定額減税が給与計算に与えるインパクト? その6  〜5月中にやるべき3つのこと〜 こちらでもお話ししていましたが、給与明細で減税額が分かるように明記する義務が発生しそうです。   これは必須では無いのですが、定額減税前の所得税額と定額減税額が内訳で表示される方がありがたみがあるのでは?なんて思ってます。⇨義務化の方針へ(NEW) 総支給額 300,000円 社会保険料58,000円 所得税     0円(!)  ・所得税額 2,000円  ・定額減税 △2,000円   給与ソフトの導入が完了している企業は(たぶん)大丈夫ですが、エクセルや手書きで計算されている場合には、早めの対応が求められます。 できれば、5月中に給与ソフトだけでも入れましょう(切実) お困りの際にはいつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com