Columns 労務相談

扶養の壁

「扶養から外れたくない!」パートさんの「12月まであとどれくらい働ける?」にスマートに答える説明術

全国の人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは! 今年も年末が近づくにつれて、パートさんからあの質問が聞こえてくる季節になりましたね。 「私、扶養から外れたくないんですけど、12月まであとどれくらい働けますか?」 この質問、本当に毎年お馴染みですよね。 ですが、質問を受けるたびに、こう思っていませんか? 「え、どの『扶養』の話っすか…?」 実は、パートさんが言う「扶養」のイメージは、頭の中でごっちゃになっていることがまぁまぁあります。 「扶養」には、大きく分けて「社会保険の扶養」と「所得税の扶養」の2つの種類があり、それぞれ壁の高さもルールもまったく異なります。 これを混同したままアドバイスしてしまうと、「あと少し大丈夫だと思って働いたら、社会保険の扶養から外れて手取りが激減してしまった!」なんていうトラブルになりかねません。 そこで今回は、被保険者数50名以下の企業(※ここが大事な前提です!)の人事担当者様に向けて、パートさんに扶養を誤解なく、すっきり説明するため方法を整理しました。 第一の扶養:手取りへの影響が一番大きい「社会保険の扶養」(130万円の壁) まずは、パートさんにとって一番手取りへのダメージが大きい「社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養」から説明しましょう。 ニュース等で「106万円の壁」が話題になっていますが、パートさん本人が契約する企業が「厚生年金被保険者50名以下」である場合、106万円の壁は対象外となります。(2027年10月からは 35名以下であることが要件になりますが、それはまた別でお話しします) そのため、この場ではシンプルに「年収130万円の壁」のみに集中します! ①社会保険の扶養:年収130万円の壁 配偶者の社会保険の「扶養家族」として、自分で保険料を払わずに健康保険証を使えて、将来の年金(国民年金第3号被保険者)を確保できる上限の年収です。 もし、この130万円を超えてしまうと、パートさん自身が国民健康保険や国民年金に加入し、自分で保険料を支払わなければならなくなります。 そうなると、せっかく稼いでも手取りがガッツリ減ってしまう「働き損」のゾーンに突入します。 パートさんに説明する際は、 「まずは、社会保険の扶養をキープしたいですよね?年収が労働契約ベースで130万円を超えると、社会保険の扶養から外れて自分で保険料を払うことになりますよ。」 と伝えるのが一番分かりやすいでしょう。 第二の扶養:税金がお得になる「所得税の扶養」(配偶者控除・配偶者特別控除) 社会保険の壁(130万円)を理解してもらったら、次は「所得税の扶養」です。 ここからは、配偶者(夫)の所得が900万円未満(年収ベースで1,135万円未満)を前提として説明していきます。 税金の扶養は段階的に壁が作られているので、以下の3つの年収レベルに分けて説明するとわかりやすいです。 ②「年収136万円の壁」 配偶者控除(または配偶者特別控除の満額)」をフルに受けられるラインが、この年収136万円の壁です。 この範囲内であれば、パートさん自身の税金も安く抑えられ、夫の税金も最大限に安くなります。(※しかし、社会保険の130万円の壁がありますので、実質的には130万円までです。) ③「年収169万円の壁」 「社会保険の130万円の壁を超えて、自分で保険料を払ってでももっと稼ぎたい!」というパートさんもいます。 その場合、次の目標になるのが「169万円の壁」です。 実は、妻の年収が130万円を超えて社会保険の扶養から外れたとしても、年収169万円までであれば、夫側は「配偶者特別控除38万円(満額)」をそのまま受けることができます。 「社会保険の扶養は外れるけれど、旦那さんの税金はまだ一番安い状態をキープできるライン」と説明すると親切ですね。 ④ 「年収207万円の壁」 169万円を超えると、夫が受けられる「配偶者特別控除」の額が段階的に減っていき、最終的に「年収207万円」に達した時点で、控除額は完全に0円(=所得税の扶養から完全に外れる)になります。夫の税金上のメリットがゼロになる最終ラインが、この207万円の壁です。 「ここまで稼ぐなら、扶養のことは一切気にせず、フルタイム並みにバリバリ稼ぎましょう!」というゾーンになります。 まとめ:パートさんへ説明するときのステップ パートさんから相談されたら、以下のステップで順番に確認してあげてください。 ステップ1: 「社会保険の扶養(130万円未満)にとどまりたいですか?それとも、それを超えて自分で社会保険料を払ってでもたくさん稼ぎたいですか?」 ステップ2: 社会保険の扶養内(130万円未満)を希望する場合 →「年収130万円(月あたり約10.8万円以下など)になるよう、労働契約から見直しましょう。旦那さんの配偶者控除は年収136万円まで受けられますので、心配ないです。」 ステップ3: 扶養を外れてガッツリ稼ぎたい場合 →「それなら、旦那さんの税金控除が満額受けられる169万円以下を目指すか、あるいは控除が完全になくなる207万円を超えてフルで稼ぐかを考えましょう!」 このように、社会保険の「①130万円の壁」と、所得税の「②136万円の壁・③169万円の壁・④207万円の壁」を分けて、順番に説明すれば、パートさんも「自分がどの壁を意識して働くべきか」がクリアになり、働き方の調整もしやすくなりますよ! 年末に向けたシフト調整や、パートさんからの扶養に関する問い合わせ対応は、毎年本当に気を使いますよね。 「自社のパートさん向けに、分かりやすい扶養の解説リーフレットを作りたい」 「シフト調整シミュレーションのやり方を社内で整理したい」 など、お困りの際にはいつでもご相談ください。 御社にお伺いし、社長や役員の方、給与計算担当者のお悩みをお聞きします。 松本労働法務事務所 …

賃金制度の見直し

最低賃金改定に合わせた賃金制度の見直しについて

  今年もやってきましたね。最低賃金改定の時期が!   昨年は900円から941円へ41円アップ、今年は992円へ51円アップです!! すごい勢いですね。政府は今後10年間で全国平均で1,500円を目指すようです。 ということは・・・毎年10月に50円ずつ最低賃金が上昇していくわけです。 頭痛いですね。 具体的には何をすべきなのか、復習していきましょう。     1. 改定後の最低賃金以下の従業員への対応 令和6年10月5日から適用される新しい最低賃金により、時給がその水準を下回る従業員に対しては、すみやかに改定後の時給単価で労働契約を結び直すことが必要です。   2. 改定後の最低賃金以上で契約している従業員への対応 すでに最低賃金以上の時給で労働契約を結んでいる従業員については、最低賃金の上昇分(50円程度)を賃金に反映させるかどうかを個別に検討しましょう。 • 賃金見直しのポイント:最低賃金が上昇しても、すでに高い賃金で契約している従業員については、一律に賃金を引き上げる必要はありません。しかし、賃金水準が業界内で競争力を保つためには、従業員のモチベーション向上の観点からも、昇給を検討する価値があります。   3. 契約改定のタイミング 最低賃金の改定に合わせて、既存の労働契約をいつ改定するかも重要なポイントです。 ① 最低賃金改定時期に合わせる:最低賃金改定に合わせて労働契約を改定する方法です。このタイミングで契約を見直すことで、最低賃金に確実に対応できます。 ② 定期昇給の時期に合わせる:定期昇給のタイミングに賃金改定を行う方法もあります。この方法であれば、労働契約の更新が1年に一度のタイミングで行え、管理がしやすくなります。   4. 誰をどれだけ昇給するのか 賃金の見直しに際して、どの従業員をどれだけ昇給させるかを慎重に検討することが重要です。 昇給の基準としては • 担当する業務の内容 • 責任の度合い • 具体的に発揮しているスキルや行動、職場での姿勢 これらを総合的に評価し、公平に昇給を決定しましょう。昇給はモチベーションアップに繋がる重要な要素であり、従業員にとっても重要な指標です。   5. 賃金制度・等級制度・人事評価制度の導入 昇給や賃金改定を適切に行うためには、賃金制度や等級制度、人事評価制度の導入が必要です。これにより、各従業員の能力やスキルを客観的に評価し、それに応じた適正な昇給が可能になります。 • 賃金制度の意義:賃金制度は、どの職位や業務に対してどの程度の賃金を支払うべきかを明確にする仕組みです。これにより、昇給のタイミングや額を公平に決定できます。   6. わかりやすい人事制度を導入するメリット 経営者だけでなく、従業員にも理解しやすい人事制度を導入することで、毎年の最低賃金改定に伴う混乱を防ぐことができます。人事評価基準が明確であると、従業員自身も自分のキャリア目標が明確になり、モチベーションが向上します。 • メリット: ①人事評価が透明化:従業員は、自分がどのような基準で評価されているのかを理解しやすくなり、不公平感が減少します。 ②離職率の低下:将来のキャリアパスが見えることで、従業員のモチベーションが上がり、結果として離職率が低下する効果があります。 ③優秀な人材の確保と育成のために 最低賃金改定に伴う賃金制度の見直しは、優秀な人材を確保し、育成するための重要な要素です。賃金制度を整え、公平で透明性のある人事評価制度を導入することで、従業員が長期的に企業で働き続ける環境を整えることができます。…

懲戒処分

懲戒処分 どのくらいが妥当なの?

懲戒処分の指針について(人事院事務総長発) 人事担当のみなさま、こんにちは。   今回は、懲戒処分の量定(懲戒処分の程度を定めること)についてお話しします。 従業員が会社のルールに違反した場合、懲戒処分が必要になることがありますが、その量定が曖昧であると、公平性が失われ、会社内での信頼が揺らいでしまう可能性があります。適切な懲戒処分を行うために、事前に明確な基準を設けておくことが重要です。   1. 懲戒処分の基準を明確にすることの重要性 「どういった行為をすれば、どのような処分になり得るのか」を企業内で明確にしておくことは、従業員のモチベーションや職場環境に大きく影響します。 懲戒処分の基準が曖昧だと、従業員は自分の行動がどのように評価されるのか不安に感じるでしょう。特に、パワーハラスメントに関するケースでは、部下への指導との境界が不明瞭になることがあります。   • 明確な基準がない場合:管理職が部下を適切に指導する際に、処分基準が曖昧だと、「自分の指導がハラスメントと見なされるかもしれない」という懸念から、指導のモチベーションが低下してしまうことがあります。 • 懲戒基準の策定:企業としては、具体的な懲戒処分の基準を定め、従業員に周知しておくことが大切です。これにより、従業員も安心して業務に臨むことができ、管理職も自信を持って指導が行えます。   2. パワーハラスメントと指導の区別 パワーハラスメントの問題が取り沙汰される中で、部下への指導が適切な範囲を超えていないか、または厳しすぎると判断されないかに対する懸念が高まっています。指導が過剰であった場合、懲戒処分の対象となる可能性がありますが、あくまで「懲戒に値するかどうか」の判断基準は、企業の方針に基づいています。   • 曖昧な処分基準がもたらす影響:基準が不明瞭だと、管理職が適切な指導をためらい、結果的に部下の育成が遅れることになります。指導と懲戒処分の基準を明確にし、社員にその違いを理解させることが重要です。   3. 懲戒処分のバランスと公平性 懲戒処分を行う際は、その処分がバランスを欠いたものになっていないか、常に検証することが重要です。例えば、似たような違反行為があっても、処分が異なれば不公平感が生じ、従業員の士気が下がる可能性があります。   • バランスの確認:同じ種類の違反に対して、同じ処分を行っているかを定期的に見直す必要があります。不均衡な処分が行われていないか、懲戒処分の履歴や事例を検証し、公平な対応を維持することが企業の信頼性を保つために大切です。   4. 事前の検討が必要 懲戒にあたるような出来事が実際に起こる前に、どのような基準で懲戒を行うのかを事前に検討しておくことが必要です。 突然のトラブルや問題行動が発生した際、事前に基準が決まっていないと、対応が場当たり的になりかねません。   • 事前に基準を設定する理由:基準が事前に定められていれば、問題が発生した際に迅速かつ適切な対応が可能になります。また、処分を受ける従業員も事前にその基準を知っていることで、処分の妥当性に納得しやすくなります。   5. 人事院の「懲戒処分の指針」参考に 人事院が発行している「懲戒処分の指針について」を参考にすることは、企業にとって非常に有用です。この指針では、懲戒処分の基本的な考え方や、適用すべき基準について詳しく説明されています。   • 指針の活用:人事院の指針を参考にすることで、自社の懲戒基準を検討する際の指針となり、他の企業での実例を踏まえた判断が可能になります。また、指針に基づいて基準を作成することで、処分の客観性が高まります。   最後に 懲戒処分の量定は、企業内での信頼関係や公平性に直結する重要な課題です。基準を事前に明確に設定し、バランスの取れた処分を行うことで、従業員のモチベーションを保ちながら、企業全体の健全な運営に貢献することができます。 お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

残業代

残業代を支払いたくないとき?

ありますよね。おっしゃっていることは分かります。 社長、後ほどゆっくりお話し聞きましょうか。 人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは。 企業運営において、正しい労務管理が行われていないと、思わぬトラブルや法的リスクに繋がる可能性があります。今回は、企業が残業代を支払いたくないと感じる理由について考え、それに対する適切な対応策をお伝えします。 そもそも残業時間とは? 残業代を適正に支払うためには、残業時間の正しい定義を理解することが重要です。 労働基準法では、1日8時間、1週40時間を超える労働時間が「法定外労働時間(残業)」となり、その時間には1.25倍の単価で残業代を支払う必要があります。その他、1ヶ月あたりの残業時間が60時間を超える場合には、1.5倍の単価で残業代を支払う必要があります。 また、会社が独自に定めた所定労働時間を超えた場合も、割増賃金を支払わなければならないケースがあるため、就業規則や労働時間の取り決めをきちんと確認しておきましょう。   残業代を支払いたくない理由トップ3 使用者が残業代を支払いたくないと感じる理由は、主に次の3つに分かれるのではないでしょうか。  1. 残業時間のカウント方法がわからない  2. 残業が本当に必要なのか明確でない  3. 会社の資金が足りない それぞれの理由について見ていきましょう。   1. 残業時間のカウント方法がわからない場合 残業代を支払いたくない理由として最も基本的な問題は、残業時間の正しいカウント方法がわからないというケースです。この場合、まずは勤怠管理の方法を明確にすることが必要です。 特に参考になるのが、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」です。 ガイドラインによると使用者には労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する責務があります。 • 勤怠管理の方法の選択:社長や上司が毎日、従業員の出退勤時間を直接確認するのか?タイムカードを利用するのか?あるいはクラウド勤怠システムを導入するのか?従業員の自己申告制にするのか? できれば、集計や管理(残業申請・承認など)がやりやすい、クラウドシステムを導入しましょう。 • 労働時間の定義:労働時間とは、使用者が明示的または黙示的に指示をした時間です。例えば、制服への着替えや業務後の後始末、待機、研修などが使用者の指示のもとで行われた場合、これらも労働時間としてカウントされます。 ここは会社によって色々なケースがあると思います。一つ一つ確認し、会社のルールを定めていきましょう。   2.残業が本当に必要か明確でない場合 次に、残業が本当に必要なのかが明確でないという問題です。ここが一番難しいですね。 この場合は、まず社内のルールを明確にし、従業員が勝手に残業を行わないようにすることが必要です。 • 残業は使用者の命令によるものと周知する:基本的に残業は、使用者の命令によって行うものです。 従業員が勝手に、自由意志で行えるものではありません。  • 残業申請のルール作り:従業員の判断で残業をする場合には事前に申請をして、使用者が承認することで初めて残業が可能となるルールを定めましょう。 突発的に業務が発生して、事前に申請ができない場合でも、事後速やかに申請をすることをルールとしましょう。 就業規則に、残業は必ず事前または事後に申請し、承認を得ることを明記します。たとえば、次のような規定が考えられます。 第⚪︎条(時間外労働) 業務の都合により所定労働時間外に労働させることがある。2 従業員が、職務の都合で時間外労働をするときは、事前または事後に会社の承認を得るものとし、 自己の勝手な判断による時間外労働は認めない。 このように明確なルールを定めることで、従業員が勝手に残業をすることを防ぎ、必要な場合にのみ残業を許可する仕組みが作れます。  また、常態的に残業が発生している場合には、現在の業務に対して人員が不足している可能性があります。いずれにしても、従業員が何をしているのか、把握することが第一歩です。 意外と、社長が知らないところでゆったりと仕事をしていることもありますし、想像以上に仕事をしてくれていることも良くあります。   3. 会社の資金が足りない場合 最後に、会社の資金が足りないために残業代を支払いたくないというケースです。 この場合、財務分析や売上高および粗利の確保など経営改善策を講じるとともに、残業を減らすための施策を講じる必要があります。 • 業務効率化:残業が常態化している場合、業務の分担や効率化を検討することが重要です。業務の優先順位を見直し、無駄な業務や非効率なプロセスを削減することで、残業を減らすことができるかもしれません。 今いるスタッフが、「朝出社して退社するまで」行なっている業務を全て漏れなく洗い出す手法があります。職務分析という手法ですが、やってみると本当に必要な業務ばかりではないことに気が付くはずです。もっと効率的にできること、時間を短縮できること、そもそもやらなくてよいこと。 ここは、心を鬼にして洗い出しましょう。そして「あるべき姿」へ向けて業務を組み替えましょう。…

雇用保険の拡大

雇用保険の適用拡大について 週10時間の壁!?

雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要 全国の給与計算担当のみなさま!定額減税の対応は順調でしょうか?具合悪くなっていないでしょうか? 5月中に対応済ませて、6月は通常業務に集中しましょう。   さて、今日は雇用保険の加入対象についてのお話です。   令和6年5月10日に改正雇用保険法が成立しましたね。 令和6年10月から社会保険の適用拡大(被保険者数50名以上の事業所)がありますが、雇用保険も改正が決まりました。 令和10年(2028年)10月1日より、週10時間以上働くパートさんは雇用保険の加入が必要になります。 現在は週20時間以上働くパートさんの雇用保険資格取得・資格喪失・離職票発行などの手続きをすればよかったのですが・・・ 企業によっては対象者がけっこう多いのではないでしょうか? 給与計算、労務担当のみなさま、頑張りましょう!   大丈夫です。まだ、あと4年あります。それまでに、手続きの合理化(電子化)を進めておけば、対応できるはずです! いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

106万の壁

106万の壁って? 社会保険の適用拡大について

  あれ?壁って103万と130万じゃなかったっけ? って思いませんか?   はい。そうなんです。令和5年10月から、新しい壁ができました。 影響があるのは、従業員数51名以上の企業にお勤めのパートさんです。   これまで社会保険に加入しなくて良かったパートさんのうち、 下記の4つの条件に該当する方は社会保険に加入する必要が出てきます。 ①週の所定労働時間が20時間以上②基本給及び諸手当が月額8.8万円以上(!)③2ヶ月を超える雇用の見込みがある④学生ではない 厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト ここです!ここの②の月額8.8万がポイントです。 8.8万円×12ヶ月≒106万ということなんですね。   最初は誰も106万の壁、なんて言ってないんですよね〜。 「〇〇の壁」って言うとキャッチーですから、つい使いたくなる気持ちはわかりますが、 年収106万円とはどこにも定められていません。   いろいろな「壁」がありますが、あんまり増やしてほしくないな〜というのが本音です。   社会保険については ①130万の壁  配偶者の被扶養者認定がされる年収限度額 ※収入の上昇が一時的であると事業主が証明すれば、2年を限度として扶養に入り続けられるよう仕組みができる予定です。 ②106万の壁 従業員51名以上の企業で週20時間〜30時間の間で働くパート・アルバイト従業員が 社会保険に加入しなくて良い限度額(月額8.8万)   所得税については ①103万の壁 配偶者が所得税の配偶者控除(所得控除額38万)を受けられる限度額   ②150万の壁 配偶者が所得税の配偶者特別控除(所得控除額38万)を受けられる限度額(!) ・・・そうなんです。所得控除の金額は、年収150万まで変わりません。 ややこしいですねー。 扶養の話をする際には、社会保険の扶養の話なのか、 それとも所得税の扶養の話なのか、「壁」を確認してからにしましょう!   お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所 代表 社会保険労務士 松本洋太chellissta@gmail.com