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定額減税が給与計算に与えるインパクト? 令和6年度税制改正について

令和5年12月14日に令和6年度税制改正大綱が公表されました。

世間でも大騒ぎになっています定額減税のお話。現実のものになるようです。

ニュースで初めて耳にした時から嫌な気がしていましたが、給与計算担当者に直接「モロに」影響するようですね。

 

まず、住民税の定額減税額ですが

本人1万円 

控除対象配偶者および扶養親族(前年の合計所得金額48万円以下)1人につき1万円

 

給与から特別徴収をしている従業員については、各市町村が計算して送ってくる予定です。

しかし、控除対象配偶者・扶養親族については、適切に年末調整を行って給与支払報告書を提出している必要がありますね。

例えば、16歳以下の扶養親族は所得税に影響しないから〜なんて言って、年末調整での入力を省いていたら・・・

恐ろしいですね。

現在、絶賛年末調整中の企業担当者さま、給与支払報告書作成前に見直ししましょう!

 

次に、所得税の定額減税額は、

本人3万円

同一生計配偶者および扶養親族1人につき3万円

R6年6月1日以後最初に支給される給与(賞与)の源泉税から控除。

控除しきれなかった場合には、7月以降に繰越(!)

 

ちょっと。。。頭痛いですね。

A事業所に勤める、マツモトさんのケースで試算してみましょう。

・39歳 男性

・同一生計配偶者(合計所得48万円以下)有り

・扶養親族(合計所得48万円以下)(16歳未満)2名

所得税定額減税額

本人3万円+同一生計配偶者3万円+扶養親族3万円×2

=12万円

住民税定額減税額

本人1万円+同一生計配偶者1万円+扶養親族1万円×2

=4万円

 

直近の給与明細を見てみると・・・

総支給額 420,000

社会保険料控除合計 61,273

所得税控除額 9,840

住民税控除額 25,000

差引支給額 323,887

 

夏の賞与明細は

総支給額 500,000

社会保険料控除合計 74,650

所得税控除額 34,743

差引支給額 390,607

どうでしょう。企業規模にもよりますが、まあまあ、ありそうな設定ですよね。

R6年6月以降の給与計算がどう変わってくるのか、検討してみましょう。

 

6月25日支給分

総支給額 420,000

社会保険料控除合計 61,273

所得税控除額 9,840⇨0(定額減税控除繰越額110,160)

住民税控除額 25,000⇨0(市町村から届いた特別徴収一覧表より)

差引支給額 323,887⇨358,727

 

7月10日支給 夏季賞与

夏の賞与明細は

総支給額 500,000

社会保険料控除合計 74,650

所得税控除額 34,743⇨0(定額減税控除繰越額75,417)

差引支給額 425,350

 

7月25日支給分

総支給額 420,000

社会保険料控除合計 61,273

所得税控除額 9,840⇨0(定額減税控除繰越額65,577)

住民税控除額 25,000⇨10,000(市町村から届いた特別徴収一覧表より)

差引支給額 323,887⇨348,727

 

8月25日支給分

総支給額 420,000

社会保険料控除合計 61,273

所得税控除額 9,840⇨0(定額減税控除繰越額55,737)

住民税控除額 25,000

差引支給額 323,887⇨333,727

 

あれ?終わらないっすね。これ。

9月・10月・11月支給分まで計算を終えて、定額減税控除繰越額は26,217円残っています。

ということは、冬季賞与+12月支給分+年末調整で還付ということになるようです。

 

はい、頭痛いですね。

上記のマツモトさんは、年収600万超と中小企業ではそこまで低い給与金額ではないと思います。

さらには、住宅ローン控除がある方の計算は??

そもそも所得税を年間30,000円も控除していない従業員の分は??

 

謎が深まりますね。

とにかく、来年いっぱいは定額減税に振り回されることになりそうです。

がんばっていきましょう・・・!

お困りの際には、いつでもご相談ください。

松本労働法務事務所 
代表 社会保険労務士 松本洋太
chellissta@gmail.com