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台風で早退?給与計算は?

給与計算担当のみなさま、お元気でしょうか?夏バテしてませんか?

 

台風のシーズンが近づいてきましたが、皆さまの会社では台風や悪天候時の対応についてどのようにされていますか?

特に、従業員が台風の影響で早退する場合、その給与計算の方法について迷われることもあるかと思います。今回は、台風による早退時に考えられる3つの対応方法についてご紹介します。

 

1. 会社都合の休業と考えて休業補償を支払う

台風などの自然災害により、会社が従業員に早退を指示した場合、その早退時間を「会社都合の休業」として扱う方法があります。

休業補償の支払い:この場合、労働基準法第26条に基づき、会社は平均賃金の60%以上を従業員に支払う必要があります。台風が原因で会社が休業を指示した場合、従業員には責任がないため、この休業補償を適用するのが適切です。

:もし従業員が午前中で早退し、残りの勤務時間が4時間だった場合、その4時間分の賃金の60%を休業手当として支払うことになります。

 

2. 有給休暇を推奨する

次に、従業員に有給休暇を使用することを推奨する方法です。台風の影響で早退する場合、従業員が自ら有給休暇を使用することを選択できるようにすることも一つの対応策です。

有給休暇の利用:従業員が有給休暇を使用することで、その日の給与は全額支払われることになります。これにより、従業員は収入の減少を避けることができます。

メリット:有給休暇の利用を推奨することで、従業員は安心して早退できます。ただし、有給休暇の残日数に注意が必要です。有給休暇の残日数が無い従業員の場合は、1. と同様に休業補償をすることになります。

 

3. 早退控除を行う

最後に、会社が早退を指示していない場合、従業員が自らの判断で早退した際には、早退した分の給与を控除する方法があります。

早退控除の適用:従業員が自己判断で早退した場合、その時間分の給与を控除することが基本的な対応です。これは、会社が早退を指示していないため、従業員の労働時間に応じた給与を支払うという考え方に基づいています。

:従業員が1時間早退した場合、その1時間分の給与を控除します。

 

4. どの方法を選ぶべきか?

台風などの自然災害時にどの対応を取るべきかは、状況や会社の方針に応じて判断する必要があります。以下のポイントを考慮して、最適な対応を選択しましょう。

会社が早退を指示した場合:休業補償として60%の給与を支払う方法が適切です。

従業員の自主的な判断で早退した場合:基本的には早退した時間分を控除することになりますが、有給休暇の使用を推奨することも可能です。

従業員とのコミュニケーション:どの方法を取るにしても、従業員に対して事前に方針を説明し、理解を得ることが重要です。適切な対応を取ることで、従業員の安心感を高めることができます。

5. 給与明細にはどう記載する?

休業補償をする場合でも、従業員には通常通り早退の申請をしてもらいましょう。

その際、コメント欄に「台風により早退」ときちんと記載してもらいましょう。

その上で給与計算では、上記の早退時間を「早退控除」とし、その60%を「休業手当」として支給します。

:基本給 173,000円

  早退控除 △4,000円

  休業手当 2,400円

  総支給額 171,400円

 

最後に

台風などの自然災害による早退時の給与計算は、企業にとっても従業員にとっても重要な問題です。状況に応じた適切な対応を選択することで、会社と従業員の双方にとって最良の結果を得ることができます。不明点があれば、いつでもご相談ください。

 

お困りの際には、いつでもご相談ください。

松本労働法務事務所 
代表 社会保険労務士 松本洋太
chellissta@gmail.com