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残業代を支払いたくないとき?

ありますよね。おっしゃっていることは分かります。 社長、後ほどゆっくりお話し聞きましょうか。 人事・給与計算担当のみなさま、こんにちは。 企業運営において、正しい労務管理が行われていないと、思わぬトラブルや法的リスクに繋がる可能性があります。今回は、企業が残業代を支払いたくないと感じる理由について考え、それに対する適切な対応策をお伝えします。 そもそも残業時間とは? 残業代を適正に支払うためには、残業時間の正しい定義を理解することが重要です。 労働基準法では、1日8時間、1週40時間を超える労働時間が「法定外労働時間(残業)」となり、その時間には1.25倍の単価で残業代を支払う必要があります。その他、1ヶ月あたりの残業時間が60時間を超える場合には、1.5倍の単価で残業代を支払う必要があります。 また、会社が独自に定めた所定労働時間を超えた場合も、割増賃金を支払わなければならないケースがあるため、就業規則や労働時間の取り決めをきちんと確認しておきましょう。   残業代を支払いたくない理由トップ3 使用者が残業代を支払いたくないと感じる理由は、主に次の3つに分かれるのではないでしょうか。  1. 残業時間のカウント方法がわからない  2. 残業が本当に必要なのか明確でない  3. 会社の資金が足りない それぞれの理由について見ていきましょう。   1. 残業時間のカウント方法がわからない場合 残業代を支払いたくない理由として最も基本的な問題は、残業時間の正しいカウント方法がわからないというケースです。この場合、まずは勤怠管理の方法を明確にすることが必要です。 特に参考になるのが、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」です。 ガイドラインによると使用者には労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する責務があります。 • 勤怠管理の方法の選択:社長や上司が毎日、従業員の出退勤時間を直接確認するのか?タイムカードを利用するのか?あるいはクラウド勤怠システムを導入するのか?従業員の自己申告制にするのか? できれば、集計や管理(残業申請・承認など)がやりやすい、クラウドシステムを導入しましょう。 • 労働時間の定義:労働時間とは、使用者が明示的または黙示的に指示をした時間です。例えば、制服への着替えや業務後の後始末、待機、研修などが使用者の指示のもとで行われた場合、これらも労働時間としてカウントされます。 ここは会社によって色々なケースがあると思います。一つ一つ確認し、会社のルールを定めていきましょう。   2.残業が本当に必要か明確でない場合 次に、残業が本当に必要なのかが明確でないという問題です。ここが一番難しいですね。 この場合は、まず社内のルールを明確にし、従業員が勝手に残業を行わないようにすることが必要です。 • 残業は使用者の命令によるものと周知する:基本的に残業は、使用者の命令によって行うものです。 従業員が勝手に、自由意志で行えるものではありません。  • 残業申請のルール作り:従業員の判断で残業をする場合には事前に申請をして、使用者が承認することで初めて残業が可能となるルールを定めましょう。 突発的に業務が発生して、事前に申請ができない場合でも、事後速やかに申請をすることをルールとしましょう。 就業規則に、残業は必ず事前または事後に申請し、承認を得ることを明記します。たとえば、次のような規定が考えられます。 第⚪︎条(時間外労働) 業務の都合により所定労働時間外に労働させることがある。2 従業員が、職務の都合で時間外労働をするときは、事前または事後に会社の承認を得るものとし、 自己の勝手な判断による時間外労働は認めない。 このように明確なルールを定めることで、従業員が勝手に残業をすることを防ぎ、必要な場合にのみ残業を許可する仕組みが作れます。  また、常態的に残業が発生している場合には、現在の業務に対して人員が不足している可能性があります。いずれにしても、従業員が何をしているのか、把握することが第一歩です。 意外と、社長が知らないところでゆったりと仕事をしていることもありますし、想像以上に仕事をしてくれていることも良くあります。   3. 会社の資金が足りない場合 最後に、会社の資金が足りないために残業代を支払いたくないというケースです。 この場合、財務分析や売上高および粗利の確保など経営改善策を講じるとともに、残業を減らすための施策を講じる必要があります。 • 業務効率化:残業が常態化している場合、業務の分担や効率化を検討することが重要です。業務の優先順位を見直し、無駄な業務や非効率なプロセスを削減することで、残業を減らすことができるかもしれません。 今いるスタッフが、「朝出社して退社するまで」行なっている業務を全て漏れなく洗い出す手法があります。職務分析という手法ですが、やってみると本当に必要な業務ばかりではないことに気が付くはずです。もっと効率的にできること、時間を短縮できること、そもそもやらなくてよいこと。 ここは、心を鬼にして洗い出しましょう。そして「あるべき姿」へ向けて業務を組み替えましょう。…

マイナンバーカードと健康保険証の一体化について

協会けんぽ (資格情報のお知らせ及び加入者情報について)   給与計算担当のみなさま、こんにちは。 台風やら残暑やらで、気を使うことが多いですね。従業員さんの健康管理もそうですが、まずはご自身の体調を整えていきましょう。   今回は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてお話しします。 今後の対応が必要な重要な制度変更ですので、しっかりと確認しておきましょう。 またやることが増えましたね!くぅ〜!   1. 健康保険証がマイナンバーカードと一体化 令和6年12月2日から、現行の健康保険証の発行が終了し、今後はマイナンバーカードが健康保険証として使用されることになります。 これは、河野太郎大先生肝入りのデジタル化推進の一環として行われるもので、全ての被保険者に影響がある重要な変更です。   • 健康保険証の廃止:令和6年12月2日以降、健康保険証は発行されなくなり、従業員はマイナンバーカードを医療機関や薬局で提示することで、保険診療を受けることができるようになります。 • 現行の健康保険証:現在お持ちの健康保険証については、令和7年12月1日まで使用可能です。この期間中にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるように準備を進める必要があります。      2. 給与計算担当者の対応 資格情報のお知らせの受け取りと配布 • 協会けんぽから届く「資格情報のお知らせ」:給与計算担当者の元に、協会けんぽから「資格情報のお知らせ」が届きます。 これは、必ず各従業員に手渡しする必要があります。 ①資格情報のお知らせの保管を指示 • 切り取り保管:資格情報のお知らせを手渡すだけではなく、切り取って保管するよう指示する必要があります。 ※資格情報のお知らせは、マイナンバーカード対応できていない医療機関で診療を受ける際に、マイナンバーカードと一緒に提出することがあるとのこと。なんという・・・。河野先生!! 従業員さんには「大事なものだからマイナンバーカードと一緒に保管してね」と伝えましょう!無くすなよ!絶対無くすなよ!    ②マイナンバーの確認を指示する ・マイナンバーの確認:従業員に資格情報のお知らせを渡す際には、マイナンバーの下4桁が正しく記載されているかを確認するように伝えましょう。   3. 従業員への説明と指導 今回の変更については、従業員にも十分な説明が必要です。特に、マイナンバーカードを健康保険証として使用する手続きや、期限についてしっかりと周知しましょう。 • マイナンバーカードの申請推奨:まだマイナンバーカードを申請していない従業員に対しては、早めに申請を促すことが重要です。マイナンバーカードの取得が遅れると、保険証として使用できない期間が発生する可能性があるため、注意が必要です。 • 健康保険証の有効期限:令和7年12月1日まで現在の健康保険証が使用できるため、その間にマイナンバーカードを保険証として利用する準備を進めてもらいましょう。   4. 今後の流れ マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、今後も様々な業務に影響を与える可能性があります。給与計算担当者としては、引き続き制度変更に対応できるように情報収集を行い、従業員とのコミュニケーションを円滑に進めていきましょう。 たぶん、おそらく、むっちゃ聞かれると思います。くぅ〜。 なんなら、従業員の扶養者からも問い合わせがあるかも分かりません。しかも12月とか、バリバリ忙しい時期に。そうならないように、早めにインフォメーションしておきましょう。これはマジ。   最後に マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、従業員にも企業にも大きな変化をもたらします。従業員の健康保険情報が適切に管理されるよう、資格情報のお知らせの配布やマイナンバーの確認、そして保管手続きに十分な注意を払いましょう。不明点があれば、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太…

台風で早退?給与計算は?

給与計算担当のみなさま、お元気でしょうか?夏バテしてませんか?   台風のシーズンが近づいてきましたが、皆さまの会社では台風や悪天候時の対応についてどのようにされていますか? 特に、従業員が台風の影響で早退する場合、その給与計算の方法について迷われることもあるかと思います。今回は、台風による早退時に考えられる3つの対応方法についてご紹介します。   1. 会社都合の休業と考えて休業補償を支払う 台風などの自然災害により、会社が従業員に早退を指示した場合、その早退時間を「会社都合の休業」として扱う方法があります。 • 休業補償の支払い:この場合、労働基準法第26条に基づき、会社は平均賃金の60%以上を従業員に支払う必要があります。台風が原因で会社が休業を指示した場合、従業員には責任がないため、この休業補償を適用するのが適切です。 • 例:もし従業員が午前中で早退し、残りの勤務時間が4時間だった場合、その4時間分の賃金の60%を休業手当として支払うことになります。   2. 有給休暇を推奨する 次に、従業員に有給休暇を使用することを推奨する方法です。台風の影響で早退する場合、従業員が自ら有給休暇を使用することを選択できるようにすることも一つの対応策です。 • 有給休暇の利用:従業員が有給休暇を使用することで、その日の給与は全額支払われることになります。これにより、従業員は収入の減少を避けることができます。 • メリット:有給休暇の利用を推奨することで、従業員は安心して早退できます。ただし、有給休暇の残日数に注意が必要です。有給休暇の残日数が無い従業員の場合は、1. と同様に休業補償をすることになります。   3. 早退控除を行う 最後に、会社が早退を指示していない場合、従業員が自らの判断で早退した際には、早退した分の給与を控除する方法があります。 • 早退控除の適用:従業員が自己判断で早退した場合、その時間分の給与を控除することが基本的な対応です。これは、会社が早退を指示していないため、従業員の労働時間に応じた給与を支払うという考え方に基づいています。 • 例:従業員が1時間早退した場合、その1時間分の給与を控除します。   4. どの方法を選ぶべきか? 台風などの自然災害時にどの対応を取るべきかは、状況や会社の方針に応じて判断する必要があります。以下のポイントを考慮して、最適な対応を選択しましょう。 • 会社が早退を指示した場合:休業補償として60%の給与を支払う方法が適切です。 • 従業員の自主的な判断で早退した場合:基本的には早退した時間分を控除することになりますが、有給休暇の使用を推奨することも可能です。 • 従業員とのコミュニケーション:どの方法を取るにしても、従業員に対して事前に方針を説明し、理解を得ることが重要です。適切な対応を取ることで、従業員の安心感を高めることができます。 5. 給与明細にはどう記載する? 休業補償をする場合でも、従業員には通常通り早退の申請をしてもらいましょう。 その際、コメント欄に「台風により早退」ときちんと記載してもらいましょう。 その上で給与計算では、上記の早退時間を「早退控除」とし、その60%を「休業手当」として支給します。 • 例:基本給 173,000円   早退控除 △4,000円   休業手当 2,400円   総支給額 171,400円   最後に 台風などの自然災害による早退時の給与計算は、企業にとっても従業員にとっても重要な問題です。状況に応じた適切な対応を選択することで、会社と従業員の双方にとって最良の結果を得ることができます。不明点があれば、いつでもご相談ください。  …

労働保険料の年度更新の注意点について

給与計算担当のみなさま、お疲れ様です!   6月が終わろうとしていますが、労働保険料の年度更新はお忘れないでしょうか? 労働保険料の年度更新は、毎年一度、労働者がいる全ての事業所が行う重要な手続きです。今回は労働保険料の申告にあたっての注意点について解説します。   1. 前年度の給与総額の正確な集計 前年度の給与総額を正確に集計することは、労働保険料の計算において非常に重要です。給与、賞与、残業代など、すべての賃金を漏れなく集計しましょう。特に、以下の点に注意してください。 • 正社員だけでなく、パートやアルバイトの賃金も含めること・・・常用労働者と臨時労働者(雇用保険対象外のパート・アルバイト)とに分けて集計が必要です。 ・集計期間を確認すること・・・基本的に保険料算定期間(4月分から翌年3月分まで)に確定した賃金を集計します。支給月ではないというところがポイントですね。 (社会保険料の基礎算定は支給月で集計するので、混乱しがちです) • 通勤手当手当なども含めて計算すること。 ※労働保険における賃金とは、名称のいかんを問わず労働の対象として支払うすべてのものと定められています。 通勤手当・家族手当・住宅手当・休業手当などは労働保険の賃金として集計が必要です。 逆に、労働保険の賃金としないものとしては、結婚祝金や弔慰金・実費弁済と考えられる出張手当・宿泊費などがあります。   2. 保険料率の確認 雇用保険料率や労災保険料率は年度ごとに変更があります。最新の料率を確認し、正確に計算しましょう。   3. 申告書の記入ミスに注意 年度更新申告書の記入には多くの項目がありますが、特に注意すべき点は以下の通りです。 • 事業所名や所在地、労働者数の記入ミスを避ける・・・これは大丈夫、と思いきや事業所の住所じゃなくて本社住所を記入しちゃったり。 • 計算結果の再確認を行い、誤りがないかチェックする・・・検算は大事っす。 • 申告済み概算保険料の記入もれや誤りが無いかチェックする・・・送られてきた用紙には、すでに記載されていますが、会社で電子申告する場合には昨年の申告書を必ず確認しましょう。 これ、間違えがちなポイントです。   4. 提出期限を守る 年度更新の提出期限は通常、6月1日から7月10日までです・・・早めの準備を心がけましょう。   5. 保険料の納付方法 保険料の納付は、銀行や郵便局で行うことができますが、オンラインバンキングを利用することも可能です。オンラインバンキングを利用することで、納付の手間を軽減し、時間を節約することができます。   6. 不明点は早めに相談 労働保険料の年度更新は、やや複雑な手続きですが、不明点や疑問があれば早めに相談することが重要です。労働基準監督者や社会保険労務士に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。   最後に 年度更新は手間がかかる作業ですが、給与をきちんと集計できれば申告書も作成できます。まだの方は、できれば、給与ソフトを導入しましょう! お困りの際には、いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

定額減税が給与計算に与えるインパクト? その7  〜給与明細への明記が義務化!?〜

令和6年5月21日、各社から報道されていますが、定額減税額の給与明細への明記を義務化する方針だそうですよ!給与計算ご担当のみなさま!! 定額減税 給与明細に所得税の減税額を明記 企業に義務づけ NHK NEWS WEB   定額減税が給与計算に与えるインパクト? その6  〜5月中にやるべき3つのこと〜 こちらでもお話ししていましたが、給与明細で減税額が分かるように明記する義務が発生しそうです。   これは必須では無いのですが、定額減税前の所得税額と定額減税額が内訳で表示される方がありがたみがあるのでは?なんて思ってます。⇨義務化の方針へ(NEW) 総支給額 300,000円 社会保険料58,000円 所得税     0円(!)  ・所得税額 2,000円  ・定額減税 △2,000円   給与ソフトの導入が完了している企業は(たぶん)大丈夫ですが、エクセルや手書きで計算されている場合には、早めの対応が求められます。 できれば、5月中に給与ソフトだけでも入れましょう(切実) お困りの際にはいつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

雇用保険の適用拡大について 週10時間の壁!?

雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要 全国の給与計算担当のみなさま!定額減税の対応は順調でしょうか?具合悪くなっていないでしょうか? 5月中に対応済ませて、6月は通常業務に集中しましょう。   さて、今日は雇用保険の加入対象についてのお話です。   令和6年5月10日に改正雇用保険法が成立しましたね。 令和6年10月から社会保険の適用拡大(被保険者数50名以上の事業所)がありますが、雇用保険も改正が決まりました。 令和10年(2028年)10月1日より、週10時間以上働くパートさんは雇用保険の加入が必要になります。 現在は週20時間以上働くパートさんの雇用保険資格取得・資格喪失・離職票発行などの手続きをすればよかったのですが・・・ 企業によっては対象者がけっこう多いのではないでしょうか? 給与計算、労務担当のみなさま、頑張りましょう!   大丈夫です。まだ、あと4年あります。それまでに、手続きの合理化(電子化)を進めておけば、対応できるはずです! いつでもご相談ください。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

定額減税が給与計算に与えるインパクト? その6  〜5月中にやるべき3つのこと〜

給与計算担当のみなさま、GW明けの給与計算大変でしたね。 末締め10日払いでも結構キツイですね。末締め翌25日払いくらいがちょうどいいような・・・   さて、定額減税、待った無しですね。 怒りすぎて既に冷めたヤツら状態でしたが、もうやらねばいけません。   6月支給分給与から、適切に対応する必要があります。 5月中に次の3つだけはやっときましょう。   ①定額減税のための申告書を回収する 令和 6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 ②給与明細・賃金台帳を定額減税対応にする ③各人別控除事績簿を用意する 各人別控除事績簿   ①定額減税のための申告書 本当の名前は「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」です。長いですね。 え?こないだ年末調整で?やりましたね。 でも、従業員さん、今年に入ってから、離婚してたりしませんか? お子さん産まれたりしてませんか? 定額減税が給与計算に与えるインパクト? その1〜その5の復讐復習になりますが、今回の定額減税はこれまでと扶養の考え方が違います。所得税の扶養とも違うし、社会保険の扶養とも違います。  定額減税の対象者は・・・ ・総支給額103万円(所得48万円)以下の配偶者 ・総支給額103万円(所得48万円)以下の扶養親族※16歳未満も今回は対象です!! 5月中に改めて、全員に、すべての配偶者・扶養親族について記載するようお願いした方が間違いが無いでしょう。 ちなみに。。。所得金額って言っても、きちんと計算できる方は多くありませんので、総支給額(額面)も合わせて確認しましょう。 ここで手を抜くと、今年の年末調整で徴収になっちゃって、すごい勢いでクレーム入りそうですね。   ②給与明細・賃金台帳を定額減税対応にする これは必須では無いのですが、定額減税前の所得税額と定額減税額が内訳で表示される方がありがたみがあるのでは?なんて思ってます。 総支給額 300,000円 社会保険料58,000円 所得税     0円(!)  ・所得税額 2,000円  ・定額減税 △2,000円 こんな感じでしょうか。嬉しいですね。税金0円。   ③各人別控除事績簿を用意する なにソレ?ですよね。 定額減税のおかげで書類が余計に増えましたよ。 ここは怒るところです。全国の給与計算担当のみなさま!しっかり怒りましょう。 そして冷静に用意しましょう。   これ、つまりは定額減税の総額(30,000円×対象者数)と、控除済みの金額を把握する表です。 ほとんどの方は、年内の給与では控除しきれませんので、年末調整まで「あといくら定額減税すべきか」管理する必要があるのです。   国税庁が、「定額減税特設サイト」作ってくれています。 確認しながらやりましょう。 え?年末調整でまとめてやるって?そ、それができれば、、、 お困りの際はお気軽にご連絡ください。 松本労働法務事務所  代表…

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)について

出ましたね!令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)が!2月6日に!   今後の処遇改善手当はどうなっていくのでしょうか? 今回は報酬改定の内容というよりも、給与計算において、処遇改善手当がどう変わっていくのか?本当に一本化するのか?などについて確認していきます。 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案) 厚労省 障 害 福 祉 サ ー ビ ス 等報 酬 改 定 検 討 チ ー ム 福祉・介護職員等の処遇改善 【基本報酬の見直しについては、全サービス】・ 福祉・介護職員等の確保に向けて、福祉・介護職員等の処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化するとともに、今般新たに追加措置する処遇改善分を活用し、加算率を引き上げる。(経過措置区分として、令和6年度末まで現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、今般の改定による加算率の引き上げを行う。)・ 就労定着支援の就労定着支援員、自立生活援助の地域生活支援員、就労選択支援の就労選択支援員を、処遇改善加算等の対象に加える。・ 新加算においては、加算・賃金改善額の職種間配分ルールを統一する。(福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める。)・ 月額賃金の改善に関する要件を見直し、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金に充てることとする。・ 令和7年度に、職場環境等要件の見直しを行う。・ 福祉・介護職員以外の職員の処遇改善にもつながるよう、基本報酬を見直す。 給与計算の側面から今回の加算見直しを確認すると、下記の2点になると考えています。 「処遇改善加算については、事業所内で柔軟な配分を認める」となっていますが、裏返すと事業所で明確な基準を設けていく必要がある、ということですね。   人事評価制度・教育制度もあわせて構築していくことが重要なポイントかと思います。 松本労働法務事務所  代表 社会保険労務士 松本洋太 chellissta@gmail.com

定額減税が給与計算に与えるインパクト? その5

出ました!国税庁のQ&Aが!2月5日に!   その4までに言及した内容もありますが、復習の意味もあわせて確認していきましょう。 給与計算担当のみなさま、大丈夫ですか?気を失ってないですか!?     国税庁 令和6年分所得税の定額減税Q&A 国税庁の図は分かりやすいですね〜。 5月支給の給与額面が300,000円くらいだった人(扶養なし)に、 6月の賞与額面で600,000円支払えば、一発で終われますね! 年収ベースで4,200,000円以上の方々向けですね〜。この制度は。 基本的に、7月以降も(最悪、年末調整まで)気にし続けなきゃいけない訳です! 頑張りましょう! そのほか、気になる部分を確認していきましょう。 大きく2点、 定額減税の対象になる配偶者は? 定額減税の対象になる扶養親族は? という部分です。 Q&Aを見ていきましょう。かっこ書きが多いと読みづらいので省いています。 1-4 同一生計配偶者問 「同一生計配偶者」とは、どのような人をいうのですか。[A]「同一生計配偶者」とは、その年の 12 月 31 日の現況で、納税者と生計を一にする配偶者で、年間の合計所得金額が 48 万円以下の人をいいます。 6-3 源泉控除対象配偶者問 「源泉控除対象配偶者」とはどのような人をいうのですか。 [A]「源泉控除対象配偶者」とは、給与所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が 95 万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が 150 万円)以下の人をいいます。 6-6 源泉控除対象配偶者(所得金額の見積額が 48 万円超)に係る月次減税問 扶養控除等申告書に氏名等が記載されている「源泉控除対象配偶者」の中には、令和6年中の所得金額の見積額が 48 万円超 95 万円以下の配偶者も含まれます。このような配偶者は月次減税額の計算に含めますか。 [A]令和6年中の合計所得金額の見積額が 48 万円超の配偶者については、月次減税額の計算に含めないこととされています。そのため、扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者の令和6年中の所得金額の見積額をご確認いただき、月次減税額の計算に含めるべき配偶者か否かを判定していただくことになります。(注) 令和6年中の合計所得金額の見積額が 48 万円超の配偶者は、配偶者自身の所得税において定額減税額の控除が行われます。 まとめると、配偶者の取り扱いは、配偶者本人の収入額によって、下記のように変わります。 配偶者本人の収入(額面) 呼び方 定額減税…

定額減税が給与計算に与えるインパクト? その4

定額減税についての話も4回目になりました。 考えれば考えるほど闇が深い・・・   今回は、具体的な金額を見ながら、定額減税が給与計算に与えるインパクトを確認していきます。 コラムその2で定額減税の対象者と、定額減税の金額を確認しました。   具体的な計算について、国税庁からお知らせが出ています。 令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除についてhttps://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/pdf/0023012-247.pdf令和6年1月19日財務省 国税庁 抜粋 これによると、6月支給分給与から源泉所得税を始めて、定額減税の合計額に到達するまで調整し続ける必要があるわけです。 定額減税対象が本人のみ(所得税30,000円・住民税10,000円)だとしても、12月+年末調整までかかります。 簡単に、今年の5月支給分から12月支給分の賃金台帳を作ってみました。 賃金台帳  5月支給分4/16 – 5/15  6月支給分5/16 – 6/15  7月支給分6/16 – 7/15  8月支給分7/16 – 7/31  9月支給分8/1 – 8/31 10月支給分9/1 – 9/30 11月支給分10/1 – 10/31 12月支給分11/1 – 11/30 5月支給分〜12月支給分小計 支給合計 230,000 230,000 230,000 230,000 230,000 230,000 230,000 230,000 1,840,000 社会保険料合計 35,772 35,772 35,772 35,772 35,772 35,772…